パイオニア PAX-A16
1970年(昭和45年)前後に一世を風靡したパイオニアのコアキシャルスピーカーユニットたち。
PAX-8A、PAX-16A、PAX-20E、PAX-20H、PAX-20Fなど多数のコアキシャル群。
そしてPAX-A16、PAX-A20、PAX-A25、PAX-A30
全体像は把握しきれていません。
その中でもPAX-A20シリーズは、当時のオーディオ雑誌によく紹介されていました。
今回はPAX-A16を2台入手できたのでご紹介したいと思います。
もう1台のPAX-A16
ダイキャストフレームがすごく重いです。
1台の重量が1.8kgと、P-610DBの2倍の重さです。
特徴的なマルチセルラホーンが魅力でした。
PAX-A16は3分割のホーンで、PAX-A20以上は6分割のホーンでした。
ホーンは樹脂製で、裏には低域カット用のコンデンサが接着されています。
巨大なフェライトマグネット。
早速仮設バッフル板に取り付けてみました。
正規に取り付ける場合は開口直径は172mm必要です。
P-610DBに合わせた仮設バッフル板の開口寸法は145mmなので、裏面から取り付けました。
スピーカーユニットのターミナルは、上から強く押すとリード線の穴が出てくるので、そこに差し込む方式です。
早速視聴しました。
いつものようにサリナ・ジョーンズの「SAILING」です。
出だしのベルやビブラフォン(鉄琴)の高音が澄んでとても綺麗。
その後に続くベースの低音がしっかりと出ています。
ヴォーカルもきれいなものです。
P-610DBのときもそうでしたが、16cmでこれだけの音が出ることに驚きます。
1970年頃のラジオ雑誌で、PAX-A20の音を評論家が「軽い音。ランサー77系の音のよう」と書いていたのを記憶しています。
そうか、軽い音なのかという先入観を50年たった今でも持っていました。
でも実際は、軽い音というのとはちょっと違います。
重低音もしっかりと出ますし、やや乾いた音というのが近いかもしれません。
意外ですが、本当に低い低音はP-610DBの方が出ます。
P-610の音は、クラシックの弦やピアノが得も言われないほどきれい。
PAX-A16の音は、そこまでしっとりとはしていないが、適度な音離れ感があって女性ヴォーカルが爽やかで、こちらのほうが好みです。
ヘイリー・ロレンの「エリーマイラブ」などを聴いてみました。
女性ヴォーカルはハスキーなところがとても魅力的に聴こえます。
ホーンツイータの高音が綺麗です。
FOSTEX FT40Hと甲乙つけがたい。
ジャシンタの「ムーン・リヴァー」のピアノの音が素晴らしいです。
ウンサンの「イエスタデイ」のヴォーカルがとても素敵です。
PAX-Aシリーズはウーハーの断線が多いようですが、このホーンツイータは使えますので、取り外して使うのもありですね。
全体として、ダイヤトーンとは性格が違う音なんですね。
これも捨てがたいいい音です。
誤解を承知のうえで言うならJBLの方向の音と言えるのかもしれません。
ダイヤトーンが和製タンノイ系なら、パイオニアは和製JBL系なのかも。
P-610DBかPAX-A16か、どちらかを選ぶということは不可能です。
両方良いですね。
2022年11月
P.S.
数が多いPAX-A20の方が入手しやすいと思います。
欲を言えば、PAX-20Hが一番欲しい音です。
同系の音としては、PE-16やPE-20とも似ているので、これらにホーンツイータをプラスするのも面白いと思います。