サンスイ AU-α607
番外編です。
2010年にさかのぼりますが、当時300Bシングルアンプがメインでした。
ちょっとCDをBGMでかけたいときに、わざわざ300Bに火を入れるのももったいないような気がして、そのためだけなら真空管でなくトランジスタアンプで良いだろうと中古で購入したのがAU-α607でした。
1986年の製品で、本来の定価79,800円でした。それを6,000円で入手しました。
ピアノブラック調のボディーは傷一つなく、つまみのガリ音もなくて、程度は上の上という感じでした。
この機種を購入した理由は、もともとサンスイのアンプに興味があったことと、できれば新しい機種が欲しかったためだったと記憶しています。
音は輪郭のはっきりした音という印象です。マイルスデイビスのLPは、バックでベースの音程が正確に響いています。薄っぺらな感じは全然なく、真空管と比べて違和感はほとんどありません。
さすがはサンスイです。
AU-α607の特徴は、出力のプラス側とマイナス側に別々のアンプを装備していることで、マイナスはアースではありませんでした。
α607は1986年当時79,800円ですから入門用というより中級に近い機種です。
このころのメーカーは、他社よりも少しでも変わったアンプをつくり、特性の数値を追い求めることが目標であったようで、良い製品を長く作り続けようという戦略はなかったように思います。
AU-α607は、上位機種の907と比べてボディーの中がスカスカだと言われました。
でもよく見ると、α907とは電源のレイアウトが異なるだけで、スペース自体はほとんど変わりません。スカスカに見えるのはレイアウトの違いのためです。α707も607と同じです。
物量時代のアンプは巨大です。大きいと思っていたトリオKT-7700よりもさらに大きいです。重量が15kg以上あります。300BシングルのSV-501SE(11.5kg)より重いのです。
真空管アンプと遜色ないいい音と思いましたが、長時間聴いていても飽きないのは300Bの方でした。石のアンプは音が単調で次第に飽きてきました。
本来、BGM用に買ったのだからそれでよかったのですが、大きくて場所を取ることからこれも手放すことになりました。
山水のアンプで記憶に残るのが、ミッドレンジのトーンコントロールができるアンプです。1969年頃と思われます。
AU-777Dという型番だったんですね。
当時はビクターのSEA(5つの周波数帯をコントロールできるイコライザー)が大ヒットしていましたが、サンスイからBASS、TREBLEに加えてMIDRANGEをコントロールできるアンプが出たのは衝撃的でした。
従来は、中音域を持ち上げたいときは、低音域と高音域を下げる手法で等価になると考えられていたようですが、低音高音はそのままで中音域だけを持ち上げることによる効果はかなり大きかったようです。SEAでなくてもこれで十分と思った記憶があります。