FLAT8-Ⅱを入手して毎日ヴォーカルを中心に聴いていました。
ヴォーカルはもちろんクラシックもいけます。
そこでジャズはどうなのか聴いてみました。
ビル・エヴァンスの「ワルツ・フォー・デビー」「ポートレイト・イン・ジャズ」「サンデー・アット・ザ・ヴィレッジ・ヴァンガード」、マイルス・デイビスの「カインド・オブ・ブルー」などです。
ソースはAmazon Music HDです。
エージングも2週間以上は行ったので、本来の音が出るはずです。
早速聴いてみました。画像に見えるホーンツイーターはOFFです。
ジャズも文句なくいけます。
スコット・ラファロのベースの低音がクリアに出ています。
このユニットの特徴なのでしょう。若々しい透明感があります。
低音域も申し分ありません。PAX-A20と同等に出ています。
口径20cmだと、やはり16cmよりも深みのある低音が出ますね。
ダブルコーンの違和感は全くありません。
ホーンツイーターと比較してもダブルコーンの高音域は悪くありません。コーンツイーターよりはむしろ好きです。
※この辺は好みの違いがあるかもしれません。
ただ、ユニットの中心から少し外れると高音の繊細さが薄れます。
ユニットの正面で聴くのが一番良さそうです。
ピアノの甘い音色は、PAX-A20やヤマハJA-2059の方がいい感じですが、FLAT8のピアノも悪くありません。本当に甘い音(だけ)が好きならダイヤトーン系かなと思っています。
JA-2059は音がかなり前に出てくる感じで、スネアの音がとても良かったものです。FLAT8は、主張しすぎることがなく、ちょうどいいバランスだと思います。
接続端子部。右がプラス、左がマイナスの表記あり。
FLAT8の概要です。
音圧で101dB/Wと書かれている場合は、昔の規格である0.5m前方での音圧で、一般的な1m前方での音圧は-6dB低い95dB/W/mです。
名称 | 発売年 | 特性 | 備考 |
FLAT-8 | 1969年登場 | 1台4,400円(発売時) f0:40Hz f特:40~20,000Hz Q0:0.5 入力:25W 音圧:95dB/W/m 重量:2kg |
セラミックマグネットになっているがフェライトマグネットのこと |
FLAT8-Ⅱ | 1970年代前半 | 1台6,200円(発売時) 入力:35W 特性は同上 |
同上 |
FLAT-8A、8B | 1970年ごろ | 特性は同上 | 専用ボックスに入ったユニット名。外観は簡素化 |
FLAT-8S、8SD | 1970年ごろ | 1台13,200円 f特:45~20,000Hz 寸法:幅330x高さ590x奥行290mm |
専用ボックスのスピーカーシステムの名称 |
FLATシリーズは次の機種があるようです。
末尾にSがつくのは専用ボックスに入ったスピーカーシステム名称です。この箱に入ったユニットとしては、FLAT-8A、FLAT-8Bなどが確認できています。
FLAT-5はシングルコーンです。
12cm口径:FLAT-5、FLAT5-Ⅱ、FLAT-5S(FLAT-5A 未確認)
16cm口径:FLAT-6、FLAT6-Ⅱ、FLAT-6S、FLAT-6SD(FLAT-6A 未確認)
20cm口径:FLAT-8、FLAT8-Ⅱ、FLAT-8S、FLAT-8SD(FLAT-8A、FLAT-8B)
25cm口径:FLAT-10、FLAT10-Ⅱ、FLAT-10S(FLAT-10A 未確認)
半世紀も前にこんな良いユニットがあったんですね。
海外のヴィンテージユニットから見れば一桁以上も価格が違いますが、それでもこれだけ楽しめるユニットは貴重ですね。
FLATシリーズには上位機種としてBETA(ベータ)シリーズが有名です。20cmのBETA-8と25cmのBETA-10があります。
これらの音は残念ながら聴いたことはありません。今でも1台数万円前後の価格がついていますから、簡単には入手できません。バランス的にはFLATシリーズが良いような気がします。
なお、FLATシリーズのエッジにはビスコロイドが使用されていないそうで、軟化処理が必要な場合は専用の軟化剤(ヤフオクにあり)を使ったほうが良いと思います。
P.S. 低音の音離れ(キレ)がすごく良いです。
ジャズではなくて女性ヴォーカルで恐縮ですが
久しぶりに古いナンバーから「シェリーに口づけ」を今のアレンジでFLAT FACE 高取淑子さんの曲(2013年)を聴きました。ベースのキレが素晴らしいです。
同じく古いナンバーの「ローズガーデン」を昔のリン・アンダーソンの曲(1970年)で聴きました。
やはり今の曲の方が、いわゆるリマスター版とのことで音質が格段にいいですね。
FLAT8-Ⅱはもともと切れの良い低音を出していますが、現代のアレンジだと一層キレが良くなる感じで新しい発見が続きます。