カートリッジ DENON DL-103
※ 記事の内容は2007年頃のものです。
DL-103
今でも製造が続いているとてもポピュラーなカートリッジです。国産MC型の標準機といえます。価格は新品でも25,000円と適価です。中古の出物も多く、入手は容易です。
(注)2022年現在は45,000円前後します。
音質は、くせのない滑らかな音でとても優れています。レコードを聴くときの標準カ-トリッジとしている方も多いのです。
MC型のカートリッジは昇圧トランスを必要とします。
むろんヘッドアンプを使用しても良いのですが、真空管ヘッドアンプは普及価格帯での商品はありませんし、トランス1個で済むものを複雑な回路を通していては気分的にしっくりきません。
ましてやソリッドステートアンプでは使う気にもなれません。私はトランス派です。
DL-103の取扱説明書はメーカーのページからダウンロードできます。
DENONの取扱説明書は ⇒ コチラから
参考データです
出力電圧: 0.3mV
左右感度差: 1dB以内(1kHz)
チャンネルセパレーション: 25dB以上(1kHz)
インピーダンス: 40Ω±20%(1kHz)
コンプライアンス: 5×10-6cm/dyne
針先半径: 16.5ミクロン(0.65ミル)
針先: 0.2mm角ソリッドダイヤ
針圧: 2.5g±0.3g (2.2g~2.8g)
再生周波数範囲: 20Hz~45,000Hz
自重: 8.5g
負荷抵抗: 100Ω以上(トランス使用の場合は別)
カートリッジのチャンネルセパレーションはCDに比べるととても悪いです。
しかし、聴感上は全く問題ありません。
ステレオ録音自体が、マルチマイク、マルチトラック録音で、ミキシング技術で”仮想”ステレオ空間を創り出しているせいではないかと思います。
重要なのは、インピーダンスが40Ωでハイインピーダンスであること。DENONのカートリッジにはやはりDENONの昇圧トランスが相性がぴったりだと思います。
針圧は2.5gとかなり重めです。典型的なローコンプライアンスカートリッジです。
レコードが傷むからと軽い針圧にしていては、DL-103の真価は発揮できません。この程度の針圧でレコード盤が傷むこともありません。オルトフォンSPUなどは4gにもなるのですから。
昇圧トランス DENON AU-320
AU-320
MCカートリッジ用昇圧トランス。製造は1978年ごろ。
当時の定価は19,000円でした。DENONの昇圧トランスは、現行品も2万円程度でありますし、中古市場でもよく出ていますので入手は比較的容易です。
入力は2系統あり、2台のプレーヤー(2本のアーム)をつなぐことができます。
インピーダンスは3Ωと40Ωの切替。PASSはスルーですのでMM型カートリッジに付け替えてもスイッチの切替だけで済みます。DL-103の使用のときは40Ω側を使用します。
サイズ:幅97×高さ65×奥行き155mm
重量: 800g
DENONサイトには取扱説明書はありませんでした。残念。
低音から中音域にかけて、なかなか芯のしっかりした音です。高音域は刺激的ではなく好感の持てる控えめさがあります。全体的に、オルトフォンと比べるとおとなしいイメージです。
中古を入手した場合、ケーブルや端子が傷んでいて別の新しいものに取り替える方がいますが、見た目は良くなりますがオリジナルと音質が変わってしまいます。
このようなとき、たいがいは悪い方に変わることが多いようです。中を開くとケースにトランス2個がぎっしりと詰まっています。微少電流を扱うトランスにこんな重いものが必要なんだと感心してしまいます。