マッキントシュ・モノラルパワーアンプ MC30をご紹介します。
(※ 記事の内容は、2011年1月のものです。)
マッキントッシュのパワーアンプとしては、KT88プッシュプルのMC275が有名ですが、6L6プッシュプルのモノラルパワーアンプMC30も素晴らしい音がします。
MC30が2台並ぶさまは壮観です。
友人より借りているマッキンMC30は、マッキンらしく適度なコクと厚みがあり、それでいて重くなり過ぎない軽やかさもあってさすがです。
聞き飽きることのない素晴らしい音です。LM3886を持ってしても、ディスクリートでMC30を超えることは難しいでしょう。
真空管は懐かしい柔らかい音がするというのは間違いです。うまく設計された真空管アンプのダイナミックさ、繊細さ、その味わい深さは何物にも代え難いものです。
MC30もとてもよい味を出しています。
KT88のMC275は復活、再販売されています。MC30は復刻版がありません。
電源は全波整流管5U4Gを使用し、出力管は6L6プッシュプル。12AX7を2本、12AU7を1本、12BH7を1本使用しています。
MC30の回路図がないのでMC275の回路図を参考にすると、初段12AX7、位相反転段12BH7、電圧増幅段12AU7、ドライブ段12AX7、出力段6L6という構成なのでしょうか。
出力は30Wです。
マッキンは独自の回路構成を取っていて、特に出力トランスは真似のできるものではありません。このような素晴らしい音を出すアンプを最初に設計した技術者は、ずば抜けたひらめきを持っていたのでしょう。
スピーカー端子は古典的なねじ式です。省スペースで無駄なコストもかからず、それでいて4Ω、8Ω、16Ωに対応しています。入力はRCA端子があります。
シャーシがとてもコンパクトなため、アンプを持ち上げると意図せずに真空管に触れて12AX7の足が曲がってしまいますので、持ち上げるのにも注意が必要です。
おそらく1950年代後期から1960年代初頭の製品と思われます。パーツのメンテナンスは必須の時期に来ていますが、パーツを変えれば音は少しづつ変わって行ってしまうのでしょう。
それがもったいなくもジレンマですね。