内容は2007年10月頃のものです。
レコードプレーヤー LINN LP12を友人より貸してもらいました。
アームはSME、カートリッジはオルトフォンSPU-Aが付いています。
このLP12は、昔のセパレートステレオのように、アームとターンテーブルがキャビネットからスプリングでフローティングされていて、触れるとふわふわと揺れます。
見た目はかなりコンパクトですが、重量は10kgあります。作動させると、かすかにモーターの回る音が聞こえます。33回転固定だったように思います。
いい表現が見つかりませんが、スピーカーからオルトフォンの空気が部屋に満ちてくるような雰囲気です。
甘美な音とはこのようなことを言うのでしょう。低音がどうのとか原音に忠実がどうのとか、そんなことはどうでもいいと思える美しさです。何でこんな音が出るのでしょう。
LINNのベルトドライブプレーヤーは、余計なものが何も付いていなく、見た目はとてもシンプルです。
キャビネットも積層ボードではなく、内部に空間がたくさんあります。
重厚感はまるでなく、とても簡素な感じです。
国内では一枚ものの厚い板を使ったプレーヤーが最良と言われていた頃ではないでしょうか。
LINN LP12を聴くと、それは違うんじゃないかと思えます。
もしも、同じ構造に作ったとしても決してLINNと同じ音は出ないでしょう。
というか、おいそれとLINNと同じ構造がつくれるわけがありません。
超超高精度の一点支持の軸受。
LINNのロゴマークはそれを表しています。(公式サイトより)
超超高精度の削り出しのプラッター。
1枚を作るのに4カ月かかるといいます。
モーター、プーリー、ベルトなども高精度で、非常に技術度の高い作品です。
とても歴史のある製品で、初代LP12の誕生は1973年ですから、2007年時点で34年も同じ形態のレコードプレーヤーを作り続けているのですね。
まさに逸品です。SPUカートリッジもそれと同等以上の歴史があります。
LINNはとても高価で、おいそれと手に入れることはできません。しばらくの間、楽しみたいと思います。
SME トーンアーム 当時よく見かけた典型的なSMEの形態です。
オルトフォンSPU-A クラシックからジャズまでこなす優れもの。独特な形態をしているがカートリッジ本体はMC20のような細身の形。
良いものには良いといわれるだけの理由がある典型ですね。