サンバレー SV-501SE
300Bシングルパワーアンプ
※このページは2006年~2012年ごろの様子です。
真空管アンプは大きく重い。重量の大半は電源トランスと出力トランス。
これはキット屋の製品で、電力増幅管に300Bを用いたシングルアンプ(2004年製)。300BはWEではなくエレクトロ・ハーモニックス製。
初めて試聴したときは、とにかく低音の量感に圧倒されました。全体に力強く、とても好ましく感じて、それまで持っていた6BQ5シングルの処分と引き替えに購入を決めました。
トランジスタアンプのときはいつも低音をブーストしていたのに、300Bでは何もしなくても力強い低音がよく出ています。このときのスピーカーはまだB&W CDM1SEでした。
初めのうちは真空管独特の音のつやが気になりましたが、すぐに耳のエージングが進んで全く気にならなくなりました。
シングルですので出力はわずか8W+8Wしかありません。でも89dBのCDM1SEでも十分な音量で鳴りましたし、91dBのチェビオットでは不足感はありません。
最初に300Bを聴いてしまったので、他の球の音はよく分かりません。将来はプッシュプルアンプも聴いてみたいと思います。PPアンプは出力25W+25Wもあれば十分です。
興味があるのはKT-88とショップでいつも聴く6CA7(EL34)です。
トランジスタプリメインも1台持っていました。これは’87年製ですからもう20年ものになるのですが、ぱっと聴いたときの音の繊細さは意外にもトランジスタの方がいいのです。
ところが音楽性という点では真空管の方が優れていて、大きな音で聴いても破綻を起こさないし、いつまで聴いても飽きがきません。
私の石のアンプでは音に奥行きがなく平面的に感じられうるさくなってくるのです。トランジスタアンプは1年後に手放すことになりました。
SV-501SEの中央にあるメーターは、300Bのプレート電流を見るためのもの。メーターの左右に小さく見える半固定VRで電流を調整します。
ドライバー段に3極+5極複合管の6BM8が使用されています。
入力は1系統しかありません。ボリュームはR・Lに1個ずつ付きます。
参考データ
周波数特性: 8Hz~30KHz(1W8Ω -3dB)
出力インピーダンス: 4Ωか8Ωを製作時に選択
サイズ(突起部・玉含む):幅180×奥行き430×高さ220(mm)
重量:11.5kg
価格:完成品 150,000円
メーカーによれば、’96年発売のアドバンスM-501の改良機となっています。
300Bは直熱管なので直流点火でないとハム音が出やすいのです。このため当機を含め多くの300Bアンプは、ヒーターが直流点火で、B電源にチョークコイルを採用しています。
しかし、本当の300Bの味は交流点火でなければ出てこないものらしいです。
ヒーターが暖まるまではB電圧がかからないようにする遅延回路が内蔵されています。スイッチを入れて約45秒後に、カチンという音とともにメーターが振れてプレート電流が流れ出します。
メーカーではケースを販売していませんので、真空管を保護する何らかのカバーが必要に思います。むき出しの30Bを見るたびに何か落下物が当たったらと考えてしまいます。
出力トランス
出力トランスのカバーに印字されているインピーダンス表示です。
巻き線は4Ωと8Ωの表示が見えます。
SV-501SEを聴き始めたのが2007年1月。今ではうちのシステムの中心になっています。
価格の割に見た目の高級感がないのがちょっと不満ですが、肝心の音質には不満はありません。
パワーアンプのボリュームは最大にして、プリアンプのボリュームで音量を調整することが基本であるとキット屋店主の日記に記載されています。
さもなければ真空管の動作点の関係で音質に悪い影響が出るらしいです。このときに、うっかりとプリとパワーをつなぐケーブルを抜き差ししようものなら、大きなショックノイズが出るので注意しなければなりません。
回 路 図
ザ・キット屋のWebに公開されているものを引用させていただきました。
300Bの中高音の透明感は素晴らしく、ピアノの響きがたいへん心地よい。重低音の響き渡るほどの量感は特筆ものです。
このアンプは、タンノイチェビオットはもちろん、B&W CDM1SEとも相性がいいようです。フォステクスFE107Eにつないでみると、能率はFE107の方が高いのに量感が全然出ません。
片ch8W程度の出力なのだけれど家庭でのメインシステムとして十分使えます。