ビル・エヴァンス・トリオ(ファースト)の名盤の中から「エクスプロレイションズ」をご紹介します。
この盤は、1961年2月2日に録音されリリースされた盤です。
最初のビル・エヴァンス・トリオを構成した3人の珠玉の4枚のレコードは次のような順になっています。
1959年12月26日録音 | ポートレイト・イン・ジャズ(Portrait in Jazz) | with スコット・ラファロ (b),ポール・モチアン (d) | リバーサイド・レコード |
1961年2月2日録音 | エクスプロレイションズ(Explorations) | with スコット・ラファロ (b),ポール・モチアン (d) | リバーサイド・レコード |
1961年6月25日録音 | サンデイ・アット・ザ・ヴィレッジ・ヴァンガード(Sunday at the Village Vanguard Live) | with スコット・ラファロ (b),ポール・モチアン (d) | リバーサイド・レコード |
1961年6月25日録音 | ワルツ・フォー・デビイ(Waltz for Debby Live) | with スコット・ラファロ (b),ポール・モチアン (d) | リバーサイド・レコード |
ビル・エヴァンスは、幼い頃からラフマニノフやストラヴィンスキーなど、クラシック音楽に親しみ、10代に入ると兄と共にジャズにも関心を持つようになったそうです。
余暇にはアマチュアバンドでピアノ演奏するようもなっています。
真面目な即興という相反する演奏をやってのけるのは、クラシックに親しんだからでしょう。
日本人に一番人気のあるジャズピアニストは、ビル・エヴァンスだと思います。真面目さが伝わる演奏と美しいメロディーが日本人の心に刺さるのではないでしょうか。本人も日本の文化が大好きだったと言います。
彼の繊細なピアノ演奏には「わび・さび」があると言う方もいて、妙に納得してしまいます。
ビルのピアノ演奏には、静かな炎があった by マイルス・デイヴィス
ビル・エヴァンスは、あのマイルス・デイヴィスに認められた数少ない白人ジャズ・ピアニストです。
マイルスの言をして「ビルのピアノ演奏には、いかにもピアノという感じの静かな炎があった」と言わしめたビル・エヴァンス。
一時期マイルスのバンドに席をおいていたエヴァンスを、マイルスはとても可愛がったといいます。
モード・ジャズをいち早く取り入れようとしていたマイルスから、その手法を教えられたそうです。
ただ、白人はエヴァンスだけだったことから、なにかと差別を受けたようで、1年ほどでエヴァンスはマイルスの元を離れ、ポール・モチアン(ds)とスコット・ラファロ (b)と共にトリオを結成し、モード・ジャズを極めることになります。
ビル・エヴァンス・トリオ エクスプロレイションズ
LPレコードでは
A面
1.Israel(6:08)
2.Haunted Heart(3:25)
3.Beautiful Love(5:03)
4.Elsa(5:05)
B面
1.Nardis(5:48)
2.How Deep Is the Ocean?
3.I Wish I Knew(4:39)
4.Sweet and Lovery(5:50)
裏面
CDでは
1.Israel
2.Haunted Heart
3.Beautiful Love(take2)
4.Beautiful Love(take1)*
5.Elsa
6.Nardis
7.How Deep Is the Ocean?
8.I Wish I Knew
9.Sweet and Lovery
10.The Boy Next Door*
*ボーナストラック
「ナルディス」はマイルス・デイヴィスが敬愛するエヴァンスに贈ったオリジナルで、マイルスによる演奏は残されていない。「イスラエル」「エルザ」など代表的なレパートリーも収録。
ビル・エヴァンス・トリオの黄金期である1961年の6月25日ニューヨークのヴィレッジ・ヴァンガードで行われた伝説のライヴを昼の部から夜の部まで収録した3枚組ライヴ盤CDは、手に入れたいものの一つです。