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ビル・エヴァンス・トリオ Waltz for Debby(ワルツ・フォー・デビイ)

ワルツ・フォー・デビー ビル・エヴァンス

私がジャズとの出会いのきっかけになったビル・エヴァンス・トリオを書き記しておきたいと思います。

ビル・エヴァンスの「ワルツ・フォー・デビイ」は、私にとっては思い出深い曲です。1999年の夏の暑い日に、CDショップで初めてのジャズとなるワルツ・フォー・デビイを買い求めました。

ジャケットは、ジャズらしからぬ可愛らしさでした。これならすっと入っていけるような気がしました。

ワルツ・フォー・デビー

でも、かなり長い間、私は大きな勘違いをしていたんです。

CDをかけてすぐに始まる曲が、なかなか可愛くていい曲なんです。これがワルツ・フォー・デビイだと思い込んでいました。

ところがある日、ジャケットの裏の曲名を何気に見ると、1曲目は「My Foolish Heart」じゃないですか。ワルツ・フォー・デビイは、なんと2曲目だったんです。

2曲目こそ、可憐で弾むような素敵な曲でした。

なんて間違いをしたんだろうと、しばらく自分の思い込みの酷さに呆れました。

ワルツ・フォー・デビイは、元々ビル・エヴァンスが1956年に作った曲で、当時まだ2歳で幼かったビルの姪デビイに捧げられたものなのです。

このCDやLPレコードに収録されているワルツ・フォー・デビイは、1961年6月に開催されたライブハウスの「ヴィレッジ・ヴァンガード」でのライブ演奏の最終日である6月25日に録音されたものでした。

ビル・エヴァンス・トリオ

ビル・エヴァンス・トリオは、1959年に次のメンバーで結成されました。(ファーストメンバー)

ピアノ:ビル・エヴァンス

ベース:スコット・ラファロ

ドラムス:ポール・モチアン

この3名による演奏は珠玉の名曲と言われます。

ワルツ・フォー・デビイをライブ演奏した1961年6月25日のわずか11日後の7月6日に、名ベーシストのスコット・ラファロが交通事故死してしまったのです。25歳の若さでした。

エヴァンスはラファロの死後半年間、何も手につかなかったといいます。

Youtubeでラファロが生きていた頃の演奏を見ることが出来ます。ビル・エヴァンスはピアノの鍵盤に顔を近づけて前かがみになって演奏しますが、スコット・ラファロもベースを弾くときに顔を下に向けて弾きます。

まるで二人はそっくりの姿勢で演奏するんです。

おそらく二人は今で言うソウルメイトだったんじゃないでしょうか。

即興性に富んだメンバー間のインタープレイ(交錯)

ビル・エヴァンス、スコット・ラファロ、ポール・モチアンのトリオは、即興性に富んだメンバー間のインター・プレイが高く評価され、ピアノトリオの新しい方向性を世に示しました。

それまでの「ピアノ・トリオ」は、主役はあくまでもピアノで、ベースやドラムスはリズムセクションの域をこえるものではなかったのです。

ビル・エヴァンス・トリオは、この従来からの慣習を打ち破り、テーマのコード進行をピアノ・ベース・ドラムスが各自の即興で作り上げていく手法を展開して、交錯しあい、独特な演奏空間を演出したのです。

特に素晴らしいのはベースのスコット・ラファロで、積極的に高音域で対位法(独立性を保ちつつ、互いによく調和して重ね合わせる技法)による旋律を弾き、新しいベースの演奏スタイルを形成したのです。

ドラムスのポール・モチアンも単にリズムを刻むにとどまらず、エヴァンスのインプロビゼーション(即興)に挑みかかるようなブラシ・ワークやシンバル・ワークを見せるなど、息のあった即興演奏をしてくれます。

このエヴァンス、ラファロ、モチアンのトリオで収録した

「ポートレイト・イン・ジャズ(1959年12月28日録音)」

「エクスプロレイションズ(1961年2月2日録音)」

「ワルツ・フォー・デビイ(1961年6月25日録音)」

「サンディ・アット・ザ・ビレッジ・バンガード(1961年6月25日録音)」

の4作は、「リバーサイド四部作」と呼ばれて語り継がれています。

女性遍歴もすごいビル・エヴァンス

ビル・エヴァンスは、大学卒業後の1951年に徴兵され1954年に除隊するまでの3年間を兵役で過ごし、その間に麻薬を覚えてしまったのです。

その影響のせいか、彼は1980年に51歳という若さで生涯を閉じています。

エヴァンスは、1960年代前期からずっと長く内縁関係にあったエレインと1973年ごろに一方的に別れ、新たに親しくなったネネット・ザザーラと結婚しています。

1970年代終わりごろのエヴァンスは、私生活がまたも乱れ、ネネットや子供たちとも別居し、20歳以上も年の離れた若いカナダ人ウェイトレス・ローリー・ヴェコミンと愛人関係になっていたそうです。

短い髪をきちんと分けた、とても知性的な風貌のビル・エヴァンスですが、ラファロとの突然の別れや、麻薬中毒がその根底にはあったのかも知れませんね。

ビル・エヴァンス・トリオ ワルツ・フォー・デビー

CDとLPレコードでは曲数が違います。

次はLPレコードです。

A面
1.My Foolish Heart(4:56)
2.Waltz for Debby(6:54)
3.Detour Ahead(7:35)

B面
1.My Romance
2.Some Other Time(5:02)
3.Milestones(6:37)

ワルツ・フォー・デビー

裏面

ワルツ・フォー・デビー

CDの曲は次のようになっています。

1.My Foolish Heart(4:54)
2.Waltz for Debby(take 2)(6:52)
3.Detour Ahead(take 2)(7:34)
4.My Romance(take 1)(7:11)
5.Some Other Time(4:58)
6.Milestones(Miles Davis)(6:36)
7.Waltz for Debby(take 1)*(6:48)
8.Detour Ahead(take 1)*(7:14)
9.My Romance(take 2)*(7:14)
10.Porgy(6:01)*

*印はLPレコードには収録されていないものです。

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