DENON DH-610S
画像は2009年5月ごろのものです。
友人より2トラ38デッキを貸してもらいました。
DENON DH-610Sです。
デッキ本体と操作部が分かれた機種で、次の画像はデッキ本体部です。
なにか凛とした雰囲気を漂わせています。
リバースのない一方通行なので、機構は簡素です。
ボタンも録音、再生、停止、早送り、巻き戻ししかありません。
発売当時の価格は295,000円。
次は操作部です。
つまみやスイッチが並んで複雑そうに見えますが、左右の操作が独立しているため2組あるだけで、実際は難しくはありません。
デッキ部からコネクター・ケーブルが2本とプレイバック用RCAケーブルが1本出ているので、これらを操作部につなぎます。
次のような感じ。
左端がプレイバック用ケーブル。右の黒いコネクタ2個がコネクタケーブルです。
右端が「ERASE/REC HEAD」コネクタ。右から2つ目が「TO TRANSPORT」コネクタです。
中央のLINE OUTはプリアンプに繋がります。
その左のつながっていないRCA端子は「LINE IN」です。
ケーブルの接続にとまどいましたが何とかうまくいきました。
デッキ部のスイッチをONにすると操作部の電源も入ります。2トラデッキはフォワードのみの1方通行ですのでテープメカは比較的単純です。
さて、一緒に借りたベートーベンの2トラ38ミュージックテープをかけてみました。
曲はワルトシュタインです。
色づけのないきわめて自然な音です。
それでいていつまでも聴いていたくなる音です。
とてもすばらしい。
ピアノのタッチが強く、スピーカーの後ろで実際にピアノを弾いているような錯覚を覚えます。
これが古いタンノイで聴けるのだから2トラ38の威力は凄まじいものです。
ただ、テープがマスター巻きで、再生するには一度別のリールに巻き戻さなければなりません。これが時間がかかります。
テープは聴きたいところだけ素早く聴くこともできません。
リバースがないだけ楽かもしれませんが、レコードの手軽さにはとても及びません。
ミュージックテープも簡単には手に入りません。
2トラ38テープなどまず入手不能です。
30年前当時でも1本18,000円と高価なのです。
それでも、テープの音は本当によい音です。
おそらく30年以上前のテープで、回しているうちにぽろぽろと黒い保護膜が小さな滓のように落ちてきましたが、録音そのものに影響はないようで、きちんと管理していればずいぶん長持ちすることも分かりました。
古いデッキとわずかなテープを大切に楽しむほかありません。